ポッピンQ・東映アニメーション60周年記念作品が「爆死」と言われた理由
2016年夏、とあるアニメ映画が国民的人気作品としてロングセラーヒットを記録した。
...という書き出しをすると、皆様はなんの作品を思い浮かべるであろうか。
この質問をされて、大半の方は恐らくRADWIMPSのテーマソングが頭を駆け巡ったのではないかと思う。
昨今は様々なアニメ・漫画作品が映画化されている。
人気漫画の完全新作映像であったり、ヒットアニメの総集編に新たな映像を付け加えたものであったり、はたまた実写版であったり。形は色々である。
アニメ映画が作品が増えれば増えるほど、あちこちで評価が飛び交う。
こんなところが良かった、でもここはダメだった。SNSで誰かの感想が目に入って、観に行ってはいないものの「この作品って◯◯なんだなぁ」とぼんやり印象を抱いた経験はどなたにでもあるだろう。
さて、本題に入っていこう。
なんとなしに目に留まった感想が、いつの間にか自分の中に刷り込まれてしまう時代。
「爆死」という言葉が作品の隣に添えられ、あたかもそれが過半数の評価であるかのようにまとめられた時。もしそれが自分の好きな作品であったなら、どう思うだろうか。
筆者にも同じ経験がある。
「ポッピンQ」
かの有名な東映アニメーションが創立60年を記念して制作した、オリジナル劇場アニメである。
タイトルで不穏な空気を察知した方のために、先に弁解しておこう。筆者にこの作品を貶める意図は全くない。
グッズを集めていれば
応援上映にも参加したし、
出どころがわかる人にとっては二度見必至のあのパーカーまで入手している。
今回は作品内容ではなく、筆者がこのポッピンQを知り、応援していく上で「惜しい!」と思った部分をピックアップして紹介していく。
言っておくがこの作品、申し分なく良いものなのだ。
もちろんツッコミどころはあるものの映像のクオリティは終始保たれているし、キャラクターも可愛らしく、事前知識が何もなくても入り込める王道ストーリーに仕上がっている。
しかし作品名の隣に「爆死」という検索ワードが入ってしまう自体に陥った。一体なぜなのか。
①元より完全オリジナル作品のために劇場へ足を運ばせること自体難しかった
②様々な広告を打ったものの、決定的な知名度拡散には至らず
③東映の記念作品という位置付けであるため、上映劇場は多く設定されていた
④各劇場での動員数はごくわずかに
⑤各地で上映終了が相次ぐ
⑥鑑賞者による「人がいない」「ガラガラ」という情報に尾ひれがつき、爆死と言われるように
これが筆者が見てきた、おおよそのサイクルである。そして特に注目して頂きたいのが②の部分だ。
テレビCM、駅前広告、バナー広告...
どうやらポッピンQ、いわゆる小・中学生の女子に見てもらおうという狙いがあったようだが、絵柄的に厳しいことは明らかである。
そして何よりあの年齢層の子どもたちは、劇場に足を運ばせることが想像以上に難しい。
私もちょうどこの年齢層であったころ、好きな作品の映画を観たくて親に頼み込んだものだったが、家の近くに劇場がなかったこともありポケモンを観れて御の字、という感じであった。
確固たるブランドを築いている作品ですらなかなか難しいことを、完全オリジナル作品が何の弊害もなく遂行できるのか?
実際この作品を支えているのもいわゆる"オタク"と言われる層なのだ。筆者もバリバリのオタクであるし、小・中学生女子も同時に取り込んでしまおう、というのは欲張りすぎだったように思う。
前述した通り、ポッピンQの宣伝は残念ながらどれも決定打には至らなかったのだが、この宣伝の中で最も疑問に感じたのがピューロランドとのコラボレーションである。
ピューロランド、そう、サンリオのテーマパーク。
そこにいるのは主に女児、その親御さん、学生を含めた若い女性、そしてカップルだ。
ポッピンQがターゲットとする層が全くいないのに、なぜコラボレーションしたのか。
はっきり言って意味不明である。
ピューロランドでポッピンQを知って劇場に足を運んだのは、多分この私くらいしかいない。
意味不明とは書いたものの、喜びでしかなかった。
(※筆者はサンリオ大好きピューロランド年パス勢である)
さて、ここまでポッピンQに「爆死」という言葉が付随するようになった理由を辛酸に考察してきたわけだが、私はこの作品に対し悪意のある批判をするつもりは一切なく、純粋に応援しているということを改めてお伝えしたい。
好きな作品に否定的な意見だなんてとんでもない!と考える人もいるだろうが、長く続いて欲しいからこそ伝えなければならない悪い面もある、と私は思うのである。
世間的には日の目を見ない形で上映が終了してしまったポッピンQであるが、現在もプロジェクト自体はしっかりと進行している。
「爆死」と言われたくらいならすっかり音沙汰がなくなっているのではないか?と考える人も多いだろう。
そうなっていないのはなぜなのか。
ここでポッピンQがあらゆる作品を凌ぐ最強の武器が登場する。
ファンたちの熱意である。
文章では上手くお伝えできないのが非常に歯がゆいのだが、本作のファンは何物にも代えられない熱すぎる愛を持っている。
ハッシュタグ等を軽く調べて頂ければ、その団結力と洗練されたリサーチ力がこれでもかというほど伝わってくる。
もしかしてこの文章を読んでくださっているあなたも、その一人ではないだろうか?
このファンたちの声に応えようとする製作陣の熱意も半端なものではない。
ファンと製作陣の団結力。ポッピンQの底力はここにある!
少なくとも筆者は大いに感銘を受けた。実際この記事を書いているのも、この一文を書きたかったからと言っても過言ではない。
どこからともなく流れてきた誰かの評価、いつの間にか結び付けられてしまった悪い印象。
どうかこういったものを鵜呑みにしないで欲しい。
受け入れようとも、認めようともしなかったものと向き合った時。何が起こるのか。
その答えのカギを握りたくはないだろうか。
ではここでオススメしたいのが、
ポッピンQという作品である。